幸せにする刺客、幸せになる資格
『お子さんは、大和くん、でいいの?』
「はい」
『8年ということは、今度小学校3年生に上がる年齢かしら?』
「そうです」

大和が小学生になるまでは、保育園に預けたり、幼稚園にも通わせた。
延長保育に頼ったり、それでも急な発熱で預けるのが厳しい時は婆ちゃんや近所のママさんたちにもお世話になった。

お父さんには"足を崩せ"と言われたけど、僕はそのまま正座でいた。

『徳文くんは、【安西フーズ】の社長のご長男だとお聞きしたが、本当か?』
「はい、そうです。しかし勘当されて、今では親とは音信不通ですが」
『そのまま家に留まれば、御曹司から【安西フーズ】の次期社長への道を約束されていただろうに・・・そこまでして、大和くんのお母さんとのことを守りたかったってことだよな』
「はい。大和の母親は、亡くなりましたが・・・」
『その女性が亡くなった結果になっても、君を勘当して追い出す親の気持ちって、どんなものだろうかね。凡人の私には理解が難しいところだよ』

お父さんは一瞬天を仰いだ。
< 46 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop