幸せにする刺客、幸せになる資格
『昼間、明らかに亜香里さんに"トラウマ"の症状が出たから、その治療をしに来た。大丈夫。亜香里さんは軽いものだからすぐ収まるけど、今やっておかないとそのトラウマから逃げているだけで、戦わずに終わってしまい、思わぬところで再発してしまうかもしれないし、治療が遅くなれば遅くなるほど手遅れになる場合もあるから、少し、耐えて欲しい』

健吾さんは、心理カウンセラーの資格を持っているらしい。

ソファーに座る私の前で、健吾さんは縦膝をした。

『大事な友人の妻となる貴方に、精いっぱいのことをさせてください』
「申し訳ございません」

首を横に振る健吾さん。
隣に座るノリに何やら耳打ちをした。
頷くノリ。

何を言われたのだろう?

『まず、あの列席者の中で、誰に対して恐怖心を抱き、それが何故なのか、心当たりを話して貰えないだろうか』

私は言葉がなかなか出て来なかった。

『大丈夫。ここにいるのは4人だ。隣の部屋では大和くんが寝ているし、すぐ横にはノリもいる』

ノリが私の左手を握った。

『怖がらないで。僕は君のことは何だって知りたいし、受け入れられる自信があるから』

ノリは私を見て優しく囁いた。
私は、勇気を振り絞った。

これから幸せに生きていきたいから。
一緒に幸せになりたいノリという人が傍にいるから。
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