幸せにする刺客、幸せになる資格
「確か、親に迷惑は掛けられないって東京の実家を出て、ここに来たと聞いたんですけど、偉いですよね」
『それは、誰から聞いた?』
「ご本人、ですけど…」
お婆ちゃんの問いに私は素直に答えた。
何かマズいことを言ったかな…
『それなら、全く逆だよ』
「逆?」
なら、ノリさんは私に嘘を教えたのかな。
『ノリくんは、周りの同情を少しでも買わないようにするため、自分の生い立ちを偽っているんでしょ。実際には自分たちの体裁を守るために、親から勘当されて追い出されたのさ』
「そんな…」
高校3年生の時に、どこの馬の骨か知れない女性に子供を産ませたことで、ノリさんは父親の怒りを買い、勘当された。
ノリさんの父親は、大手食品メーカーの社長。
その長男として生まれたノリさんは、将来を嘱望された御曹司であり、幼稚舎の頃から成瀬川学院…通称ナルガクに通っていた。
「ナルガクですか。だから農家の人にしては、あまりに品がありすぎるんですね」
『職業は選べても、育った環境で培われた性根はそう変えられるものではないから』
お婆ちゃんの口調は、あくまでもゆっくりだ。
『それは、誰から聞いた?』
「ご本人、ですけど…」
お婆ちゃんの問いに私は素直に答えた。
何かマズいことを言ったかな…
『それなら、全く逆だよ』
「逆?」
なら、ノリさんは私に嘘を教えたのかな。
『ノリくんは、周りの同情を少しでも買わないようにするため、自分の生い立ちを偽っているんでしょ。実際には自分たちの体裁を守るために、親から勘当されて追い出されたのさ』
「そんな…」
高校3年生の時に、どこの馬の骨か知れない女性に子供を産ませたことで、ノリさんは父親の怒りを買い、勘当された。
ノリさんの父親は、大手食品メーカーの社長。
その長男として生まれたノリさんは、将来を嘱望された御曹司であり、幼稚舎の頃から成瀬川学院…通称ナルガクに通っていた。
「ナルガクですか。だから農家の人にしては、あまりに品がありすぎるんですね」
『職業は選べても、育った環境で培われた性根はそう変えられるものではないから』
お婆ちゃんの口調は、あくまでもゆっくりだ。