幸せにする刺客、幸せになる資格
亜香里を見ると、彼女は僕に微笑んでくれた。
彼女の存在も、僕の生きる力なんだ。

『徳文さんは、私の憧れです。自分の気持ちに正直に生きた結果が、安曇野に来ることになり、そこで私と出会うことになったのですから、私は・・・すごく嬉しいです。徳文さんがもし東京にずっといるような生活だったら、出会うこともまずなかったでしょうし。私より1つ年下のなのに、大和くんという利口な子供がいて、羨ましいくらいに仲のいい親子で、私が今、徳文さんの隣にこうしているのも、まだ信じられないくらいに思っています』

一気に話して、ひとつ息をついた亜香里。

『でも、りんご農家である徳文さんを私は好きになったんです。東京のこんな立派なお家の息子さんだなんて最初は知りませんでしたし、今後もりんごを作っている徳文さんを支えたいと思っています。ご両親には申し訳ありませんが、もし勘当を解いて跡取りにしようとお考えであっても、私は徳文さんの首に縄をつけてでも安曇野に連れ帰ります』

亜香里の言葉に、母さんがひとつため息をついた。
< 72 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop