幸せにする刺客、幸せになる資格
昼に紗英たちと大和が帰ってきて、両親と別れて紗英夫婦と蓮と僕達で食事に出た。

『大丈夫だった?特にお母さん。実はずっとお兄ちゃん溺愛の人だったからね。いざ自分の息子が帰ってきたら、亜香里さんを目の敵にするんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだけど』
『だから俺が紗英と話して、大和くんにはあの場から脱出してもらったんだ』

有難いけど、今ここに大和がいるんだから、その話を今されたら、気遣いの意味がないと思うんだけど。

『僕は、東京嫌だ』

大和がポツリと言った。

『人が多くて空気悪いし、お爺ちゃんお婆ちゃんも何か…冷たい』

子供の正直な感想だ。

『ごめんね、大和くん。お爺ちゃんもお婆ちゃんも大和くんと会えたの嬉しいんだよ。けど初めて会うから何を話せばいいのか分からなかったんだと思うの』

紗英は優しく大和に語る。

『お父さん、僕はお父さんがお爺ちゃんお婆ちゃんにいじめられても、お父さんの味方だから。亜香里ちゃんもそうでしょ?』

大和が下から見上げるように亜香里を見ると、亜香里は優しく大和の頭を撫でた。

『もちろん。でも、お爺ちゃんお婆ちゃんに、お父さんはいじめられているわけではないんだよ』

人の妻となる女性に気安く触られてるんじゃねぇよ。
と、自分の息子に嫉妬した僕。
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