幸せにする刺客、幸せになる資格
翌日、午前中に街のジュエリーショップに行った。
探していた宝石が手に入り、それを使ったリングが完成したんだ。

午後、仕事と称して亜香里を呼んだ。

そしてそれを、亜香里の左手の薬指に填めた。

『うわぁ、見たことないかも、この宝石』

実は、結婚指輪は2人で買いに行き、既に亜香里の指のサイズは把握していた。
結婚式もやってやりたいと、軽井沢のチャペルで来月予定している。

でも、これはどうしても、入籍する前にやっておきたい儀式だった。

「僕は、自分が幸せになりたいから、君を幸せにしたいと思った。そして、この宝石は10月30日、亜香里の誕生日の誕生石で、ピンクファイアーオパールだ」
『ありがとう。綺麗な色』

亜香里は指輪を見ながら言う。

「同じ年老いていくのなら、僕の傍で一緒にじいさんばあさんになろう。僕の、お嫁さんになってください」

指輪の填まった左手を握り、僕は亜香里にそう言った。

『ありがとう。大事にするね、貴方のことも、この指輪も。喜んで、安西徳文さんの奥さんになります』

"ただいま~"

と、学校から大和が帰ってきた。

『あ、亜香里ちゃんがいる!』

大和が走ってリビングに来た。
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