赤い流れ星3
とても気まずい雰囲気だった。
どちらも話さず、二人の足音がやけに大きく感じられる。



「意外と早かったですね…」
「今頃はきっと…」



沈黙に耐えかねて口を開いたら、タイミング悪く二人の声が重なった。



「あ、どうぞ……」
「なんですか?」



まただ。
二度目もまた同じタイミングだった。



「……美幸たち、もう帰ってるでしょうかね?」

「そうですね。帰られてるかもしれませんね。」



こんなことなら、俺は美幸と逃げれば良かった。
美幸は、出来るだけシュウと一緒にいさせた方が良いかと思い、俺は野々村さんの担当にしたんだが…



その後も会話は続かず…
別荘が見えて来た時には本当にほっとした。



「ただいま。」

居間には、みんなが集まっており、その中心にいたのはタカミーだ。
何か、様子がおかしい。



「……何か、あったのか?」

「何かじゃないわよ!
ひかりちゃんったら、あんな晩生な顔して、シュウに告ったのよ!」

タカミーは高ぶった口調でそう言った。



「えっ!?ひかりがシュウに?まさか…」

「まさかじゃないわよ。私、この耳でちゃんと聞いたんだから。」

「それで、シュウは……」

「OKしたのよ!
私という者がいながら、なんてこと~!」

タカミーは大袈裟に首を振り、そして大粒の涙を流した。
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