【短編】愛して欲しい。
それから、仕事がひと段落ついた休日。
俺は朝から考えた。
考えてたら、だんだん自分自身に苛々してきて気付けばビール5缶目。
時計を見ると莉衣の学校が終わる時間だった。
慌てて携帯を開き、深呼吸をしてからボタンを押す。
いつもと何も変わらない電話。
たった、それだけの事にすら安心してしまう俺が居た。
バイトが終わって莉衣が来る時間を計算し、部屋を片付け風呂に入って酒を抜く事にした。
シャワーを浴びながら、
今日はヤラない!
そう心に誓ってみる。
「今日はヤラねーぞ……」
もう一度、頭を流しシャワーを止めるとバスタオルで体を拭いた、その時だった。
――ピンポーン♪
軽やかなチャイムの音に時計を見上げる。
うわっ、やば。
もうこんな時間かよ。
計算していた時間は過ぎていて、そろそろ莉衣が来る頃だった。