【短編】愛して欲しい。
「いいよ」
「へ?」
「……? 観ないの? DVD」
フル回転させていた俺の思考が一気に止まり、再び動き出すまで俺はマヌケな顔をしてただろう。
「あ、あぁ! だなっ!」
使い慣れないDVDを操作し、部屋の電気を消した。
もちろん、ヤル為じゃなくて。
部屋が暗かったら、話しやすいんじゃねーかって思って。
部屋を暗くするのは、
俺の映画を観る時の主義だ!
いつもわけのわからん事を言っていた水城の言葉が役に立った時だった。
映画が始まり、いきなり話すのはどうかと思って、真剣に観てみる。
けど、あまりのサムさに無理!
開始5分足らずで、俺には無縁の映画だと判断した。
「なぁ、莉衣?」
1時間半を過ぎた辺りで、やっと声をかけれたのは莉衣が欠伸をしたから。
必死に堪えてたけど、俺は見た(笑)
「何?」
ソファに座る莉衣の方へと体を向ける為に、ソファにもたれていた俺は体を動かした。
背中を丸め少し前屈みになり、サラッと落ちる髪を耳にかけた莉衣。
その仕草に、俺は首を傾けソファへと体重を乗せて……
思い出した!
「あ、えっと……映画……観てんたんだったな」
何、また流されようとしてんだよ!
いや、違う。
これは莉衣が色っぽいからっ!
って何思ってんだか。