【短編】愛して欲しい。
はぁ!?
「莉衣?」
確認するかのように名前を呼び、玄関へと向かうと靴がない。
さっき入れたばっかりの携帯を再び出して耳に当てる。
プッと繋がった瞬間、
「莉衣!? 今どこ!」
焦りが声に出てしまった。
「こ、浩?」
驚いた声を出す莉衣に、優しく言葉を返せない。
「だから、今どこ!」
「え……外」
「外って……。どの辺?」
そのままの事を言われ、少し冷静さを取り戻した。
「駅の少し手前だけど。どうしたの、浩?」
まだ驚いた声の莉衣に溜息が出る。