【短編】愛して欲しい。
「大切にしなきゃ駄目だよ? 彼女はさ」
………………はっ!?
頭がついていかない。
な、に……言ってんの?
大切にしなきゃ駄目?
彼女?
目の前で立ち上がった莉衣が俺の隣を通り過ぎながら、あたし帰るね。その言葉でハッとした。
「莉衣……」
腕を掴み、俺の方へと引き寄せると莉衣の香りが鼻を擽るから、唇を近づけた。
「……やっ!」
顔を逸らすと同時に、また莉衣の香りがフワッと香る。
キスも拒まれんだ。
「……彼氏いんの?」
オブラートに包む。なんて言葉知るか!
男なら強引でもなく、優しくもなく、最後は直球勝負だろ。
そんな事を思いながらも、何の返事もない事にすぐ後悔した。
色々考えたのに。
全く無意味になってしまったから。
こんなストレートに聞けるなら、今まで悩んだ意味がわからねぇ。