Only
動けないでいると、光は目の前まで来て、あたしを見据えた。
獲物を捕らえた獣のような目。
あまりの威圧に、一歩後ずさりするあたし。
だけどその分、光も距離を縮めてきて。
「お前さ」
ようやく、光が口を開いた。
「大地と付き合うの?」
「え…?」
もう、そんな噂が流れてるの?
さっき、大地に手を引かれたのを、やっぱり見られてたのかな。
それとも…勘?
動揺して、何も言えないでいると。
「答えろよ」
さらに距離をつめてくる光。
「…っ、別に光には関係ない事だよ?あなたにはちゃんと、彼女がいるわけだし。ほら、早く外行かなきゃ、準備終わっちゃう」
そう言って、光を避けようとすると。
ダンッ。
あたしを覆うようにして、後ろの壁に手をつく光。
「違う……」
苦しそうな声で、呟く。
「違う、俺とアイツは……っ」