Only
「ったく、んな事訊くなよなー…」
「は…?」
そう言って光は、あたしを腕から解放して、意地悪く笑う。
「メリットがいくつあったら満足?」
上から見据えるように言う光の顔は。
狂暴で、でも優しさが見え隠れしてる。
「…いや、だから…それを、光に…」
「どーせくだらねー事考えてたんだろ?俺ら兄弟だからとか、星野っつー意味不な女の事とか………大地の事、とかな」
「…」
ほぼ完璧にあたしの心を推理した探偵を目の前にして、何も言えなくなる。
そして、ずっと抑えてた気持ちが…
解き放たれるような気がした。
「お前は余計な心配し過ぎなんだよ」
さっきまで口角を上げて笑ってたのに、急に真剣な表情になる光。
そんな光に、うるさく高鳴る心臓。
悔しいな。
またドキドキさせられるのは、あたしなんだ…
「な…余計心配って、あたしだって色々考えて…」
「分かってるっつの。だから…
もう、泣かせねー…っていうか…」
「何よ。今更お迎えですかー?王子様ー」
あたしがわざとからかってみると、光はそれを真に受けてしまったようで。
「だーーーー!お前な、俺がどれだけ嫉妬したか分かってんのかよ!?ったく、学校祭は大地と回ってるし、今日だって…バスで俺の事避けるし、夜もまともに寝られやしねーし。
確かに俺も…」
「あたしも辛かったよ」