理想の都世知歩さんは、




だって袿絶対喜んでくれる、と続ける都世地歩さんを椅子に座ったまま眺める私。


「袿は優しいのに」

「“袿は優しいのに”何だ!それに都世地歩さんは兄ちゃんの本性を知らないね」

「本性!?何それ格好良い」

「兄ちゃんはね、確かにヒモスキル高いし優しいしヒモスキル高いけど、それは私たちが兄妹だとか友だちだとかだからなんだよ」

「どういう意味」

「兄ちゃん、見えないけど物凄い“病み”気質なの。恋愛」

「やみ?」


都世地歩さんは、病みの意味がわからないらしい。


知らない方がいいから放っておこう。



「ウン。写真撮ろうかな」

「!お願いします」


スマホのレンズを向けると都世地歩さんは、一体何の血が騒ぎだすというのか格好付けたポーズをとり始めた。

自分の世界に入られてしまったようだ。


その時私は、都世地歩さんの左肘に小さな傷があるのを見た。


「あれ、都世地歩さん傷?」


「ん?」

振り返った彼は私の視線を辿って「ああこれ」と続けた。

「縫い痕っぽいけど、痕が残っただけ」


袿にも言われたことある気がする、やっぱ兄妹だからかなと言う都世地歩さん。


兄ちゃん?





< 254 / 268 >

この作品をシェア

pagetop