理想の都世知歩さんは、




しかしその瞬間、私の目はもう一度輝くことになる。

りっちゃんはパンツのポケットに手を入れていたが、ただのパンツではない。
シャツがインされている、サスペンダーの付いたパンツ。

それにフレームの大きめな鼈甲メガネ。

ここからじゃそれしか見えない。


「りっちゃ…上がって来てくれ」

「はい?」
「お願い頼む」


渋々と言った感じで階段を上がってくるりっちゃんが近くなる。当たり前だ。

ブロンドが眩しい。

二階に上がった彼は夏彦殿を目にした後都世知歩さんを見て、びっくりしたような表情になったが私は気が付かなかった。


「トラッドぉぉぉ……!」


両手で口と鼻を塞ぎ、悶絶する。鼻血が出ないよう気をつけているのだ。


「何」

「りっちゃん凄い、ニューヨークの学生にしか見えない」

「何言ってるの?ってか何で勝手にそう呼んでるの?誰が良いって言ったの」


「貴堂さんオハザイ!」


手を上げてりっちゃんに挨拶都世知歩さん。私はそこで二人に面識があったことを初めて知る。


「オハザイー宵一」

「!?」


え!?

りっちゃん、都世知歩さんにタメ口きいた。


え!?!?


「貴堂さんブス猫ってやめてくれないか。夏彦は女の子なんだから」

「女に夏彦って付けるのか。女の子でもないだろ。明らかに宵一より年上」

「は…っじゃあ女性か」

「うん」

「それはそれは…大変失礼致しました。レディー御許しを」

「許さないって」

「えっ」


『えっ』はこっちの台詞だよ!?


「待って待って待って、雌だったんだねっていうか都世知歩さんそれ知ってたんだねっていうか二人はどういうご関係?」





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