理想の都世知歩さんは、




「……兄弟?」

都世知歩さんが、ぼそりと言った。

「!?」

兄弟!?


「宵一、嘘言わない。和平衵も。苗字違うしそれ以前にどう見ても兄弟じゃないってわかるだろ」

「え、っあ、ああ」

「弟はいるけど」

うん、と頷く。すると夏彦殿に視線を落としていた都世知歩さんも、「俺も弟と妹はいるわ」と微笑んだ。


そうだったんだ。

だから面倒見がいいところあるのかな。


「りっちゃんの弟さんはこの前の?」


『りっちゃん』呼びに呆れた表情を見せた彼はそのまま口を開く。

「衛(このえ)」

「このえくん?珍しいね」

「ゆきがまえ――“ぎょうがまえ”の、律と近い漢字」

律。
衛。

私は、それに思わず笑ってしまった。うちも兄妹で似ている漢字だから。

「…それにしても。都世知歩さんとりっちゃんがまさかお知り合いとは…」

「まー、下の階だし同い年だし」

「えっ同い年なの!」
「どういう意味の驚きだ」

目を半分の大きさに狭めて私を見上げる都世知歩。

私も都世知歩さんが妙に大人っぽいところがあるからかりっちゃんが若々しく見えるからか、わからん。

「じゃありっちゃんはもしかして学生」

「ん。高校卒業した後二年間海外行ってたから、今年度から」


何だそれすごい。





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