理想の都世知歩さんは、
「じゃーゴミ出してくるかな」
足が痺れた、と立ち上がりながら呟いた都世知歩さんに「まだゴミ収集車来てないですよね!?」と手摺から下を覗く私。
「流石にまだだろ」
「もしもう行っちゃってたら都世知歩さんの部屋に置いてもらおう!」
「えっやだ!俺の部屋が臭くなる!」
「私もいやだ!」
「…………え?」
互いに満面の笑みで見つめ合う私たちの真横からりっちゃんの目を点にした声が聞こえた。
「「え?」」
「……は?」
「?」
首を傾げる都世知歩さんに黙り込んで口端をきゅっと結ぶりっちゃん。
何だ何だ?
「何で、一緒に住んでるみたいな言い方…?」
「!!」
「!!」
ワンテンポ遅れて私にも衝撃が走った。
「何、その反応…まさか」
ち、チラ、と都世知歩さんを盗み見る。
都世知歩さん。
足を夏彦に甘噛みされているのに気が付いていないようだ。
「あ…っと、ゴミ収集車の音が聞こえて来た?かな」
「宵一は何キロ先の音まで聞こえる気でいるの」
「はははははははは」
意外だ。
私は案外、都世知歩さんのことだからあっさり「え、ルームシェアしてるんだけど」とか言っちゃうのかと思ってた。
だから意外だ。
「まさか、お前らが兄妹だったとか?」
うん。
りっちゃんの考え方も意外だ。というか予想外だわ。
「んなわけあるかァア!!俺の妹はもっと可愛い。愛くるしい」
「ちょっと待って。知らぬ間に私傷付いてる」
都世知歩さんは、ああと言った。
いや、ああじゃないよ。
何らかのフォローしてくださいよ。
見てよこのりっちゃんの“余計なこと言っちゃったかな俺”って顔。