月光-ゲッコウ-
『いえ、久しぶりにオフィスでの仕事で、社長についてないので気が緩んでただけです。』
そう答えると、麻生はにこっりとわらってパスタを食べた。
「社長についてて、3年だったよね?そろそろ、疲れて来た?」
麻生さんの言葉に少しびっくりした。
疲れて…?
疲れて来たのかな…
1日中気を張って過ごす事にはたしかに疲れるけど、社長の言動や行動にも疲れ始めてるのかもしれない。
「社長は寂しいお人なのよ。だから愛人をあんなにかかえて、毎日寂しさを紛らわしてるの。本当はそんな人ではないのに。」
少し切ない顔で麻生さんは言った。
寂しい人…なの?
ただ、いろんな女の人と楽しみたいだけなんじゃないの?
寂しくて、誰かと過ごしてるとは思えない…。
「そんなの嘘って顔ね。でも、本当よ。あたしが言うのよ?」
確かに、麻生さんが言ってるぐらいだ。
あたしよりも、長く社長と一緒に働いてるし、第一秘書の地位にもいた人な訳だし
でも…朝のあんな事をする人が寂しくてだなんて…
「他の愛人達はあなたの様にお金の為に、愛人をしているでしょ?でも、私は違ったからわかるの。」