キミのための声






……真後ろ。




真後ろに居るんだ





―――葵くん……。






振り向くことが出来ずに
ただ立っていると、





「誰に告白しなければ
よかったって?」





ひんやりとした冷たい声。





ドクンと心臓が震えた。





「あ……何でも…ないよ…」





「後悔してんならやめよーぜ」






―――え?





「…やめ…る……?」




「付き合ったこと後悔してんなら
続ける意味ねぇだろ」




そう言い放って、
スッと靴箱から手を離し
ポケットに手を入れて
靴箱に寄りかかる。





……軽い言い方。




『早く別れたい』って




言われてるみたい。




……言われてるのかな?




あたし、振られるの?




こんな状況で?





こんなに




好きなのに




きっと全然




伝わってないんだろうな。





足が力を無くしていって




立っているのでさえやっとだ。




今にもその場に崩れ落ちそう。





なんでこの人は




こんなに冷静なんだろう。




5ヵ月も付き合った彼女と
別れることが




どうしてこんなに簡単なんだろう。




一体今まで何人の女の子に




そういう態度で
別れを告げてきたの?




……もしかして




こんなに冷たいのは





あたしに対してだけなのかな。






―――だとしたら。





「……お弁当の
ことは、謝るよ……。」




「は?」




「葵くんが少食だったなんて、
あたし知らなかったから…」




「………別に」




「明日からはもう作ってこない…」




「……いいんじゃない」




「でも……」





葵くんは





なんにも分かってない。







「―――でもこんなのって
酷すぎるよっ!!」






誰もいない校舎に





広く響き渡った泣き混じりの叫び声。





葵くんは寄りかかったまま
ただあたしを見下ろしてる。





「葵くんは何も分かってない!
あたしがどれだけ葵くんを
好きかも分かってないよっ!
好きで好きでしょうがないから
こんなに毎日お弁当だって
作ってっ……毎日6組行って!
少しでも一緒に居たいからっ!!」






―――嫌な言い方だと思った。





自分が葵くんだったら




こんなこと言ってくる彼女
相当うざいなって。







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