キミのための声
でももう止まんないの。
蛇口の壊れた水道みたいに
流れ出したままなの。
「葵くんがちっともあたしを
見てくれないからっ…!
こんなに辛いんだもんっ……
告白しなければよかったって
思っても仕方ないじゃん!!」
もうグチャグチャだ。
いいことなんて何もない。
あたしはそういう人間なんだ。
叫ぶだけ叫んだだけに、
声なんてカラカラで。
おまけに息も切れてる。
涙だって、今にも頬を
伝っていきそうだ。
「………………っ」
こんな所で泣きたくない。
視界はゆらゆらと
揺れているから、きっと
目は真っ赤で涙が溜まって
いるんだろうけど。
バックを肩にかけ直して
帰ろうと身を翻した時
グイッと腕を引っ張られて
勢いよく靴箱に
押さえつけられた。
「…いたっ……」
「―――じゃあお前はさ」
今までにないくらいの
冷たくて
身を凍らせるような低い声。
掴まれてる手首が、痛い。
葵くんはジロリとあたしを
睨むように見て、
「俺にそっくりな男に
無理矢理こーゆうこと
されそうになったら…?」
目は、確実にあたしを
睨んでいるのに
口元はニヤリと歪む。
そして片方の手で
あたしの首筋をスッと撫で、
細い指でなぞっていく。
ゾクッと鳥肌が立つ。
そんなあたしの反応を
楽しむようにして、
あたしの首筋に唇を近付ける。
「――えっ……や、やだっ…」
「嬉しいんだろ…?
俺が好きなんだもんな…?」
「―――やだっ!!」
思いっきり葵くんの胸を押し、
一瞬離れたスキに走り出した。
―――痛い
頭が
痛い
もう嫌
全部全部
分かんないよ―――。
――――
――
バタンッ!!
家のドアを勢いよく閉めて、
そのままズリズリと
ドアを背に座り込む。
―――『俺にそっくりな男に
無理矢理こーゆうこと
されそうになったら…?』
どういう
こと……?