キミのための声





大ちゃんと葵くんが
同じような考えをしている
わけではないし



大ちゃんの彼女さんと
あたしも全然違うだろうし




それでも



何か分かるかなって……




大ちゃんはパチパチと
まばたきをしてあたしを見る。



「…別に俺、いつでも冷たい
ってわけじゃねーけど……」



「でも冷たいでしょ」



「……自分じゃよく分かんねーな」



「じゃあ、優しく
出来ない時ってどんな時?」



「はぁ?」



頭大丈夫か、みたいな目で
見られたけど気にしない。



「んなもん…喧嘩してる時か、
イライラしてる時か…」



んー、と
胡座をかいている膝の上で
頬杖をついて唸る。



そしてチラリと
あたしに目をやり、



「…てかそれってどう考えても
お前の彼氏の話だろ。」



「えっ!?」



「分っかりやす。
うわーくだらねー」



「ち、ちょっと!
くだらないって何よ!」



バシッと叩こうとするも、
ヒョイと避けられた。



「へー、お前放置されてんだ」



「放置なんてされてないし!」



「じゃあ何」



「や、だから……その…
すごい、冷たいなって…」



言いながら俯くと、
フッと鼻で笑う音がした。



「お前が毎日隣でピーピー
うるせぇからじゃねーの?」



そんな酷いことを
平気で言ってのける奴。



出来れば一発殴りたいです。




「…毎日隣になんか、居ないもん。」




隣に居れたら



どれだけ幸せか。




大ちゃんは可笑しそうに
笑っていたのを戻して、
地面に足をついて座る。




「なら、そいつ自身に
何かあんじゃねーの。」




「……………?」




「お前に優しく出来ない理由が
あんじゃねーのか?
よく分かんねーけど。
冷たい冷たくないとかって
性格の問題だし。」




「……うん」




「仮にお前のことを
好きじゃなかったとして、
なのに振ってこねーんなら、
好きになれない理由が
どっかにある」





真面目な顔して
そんな難しいこと言うから、
あたしは首を傾げるしかない。




大ちゃんは「はぁ…」と
溜め息をついて、




「要はな、そーゆう
冷たい性格の持ち主は、
好きじゃなかったらソッコー
振ってくるから。」




「う、うん」




「でも振られてねんだろ?」




「…ちゃんと、は……。」




別れたいようには
聞こえたけれど。






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