キミとの距離は1センチ
「佐久真って、ラブストーリー物よりアクションとかホラー系好きそうだよなー。少女マンガより、絶対少年マンガの方が好きだろ?」

「え、……ま、まあ……」



……普通に、ラブストーリー物も少女マンガも好きですけど。

だけどそっか、わたしは、“そういうイメージ”なんだ。


へらり、と、自分の後頭部に片手をやりながら笑ってみせる。



「あははー。たしかにわたし、ベッタベタなラブストーリーだと映画の途中で寝ちゃってるかもですね」

「ほらな~。どう見ても体育会系だもんな、おまえ」

「もう、余計なお世話ですよ! ……ということでさなえちゃん、悪いんだけど、わたしもこの割引券は使わないかなぁ」

「ふふ、そうですかー」



わたしと浅尾さんのやり取りを聞いてくすくす笑っていたさなえちゃんが、再び割引券を受け取った。

ああ、さよなら20%オフ……。



「お。じゃあ、俺その券もらっていい? 妹が今週行くって言ってたからさー」

「あ、それではぜひ」



結局割引券は、浅尾さんの妹さんのところにたどり着くらしい。

交渉が成立したのを見届けたところで、そろそろ社食に行かなければと、椅子から腰を上げかけたとき。
< 106 / 243 >

この作品をシェア

pagetop