キミとの距離は1センチ
むかむか、どうしようもない苛立ちと、それから少しの悲しみが、胸の中に沸き起こる。



「若と佐久真って、同期なんだっけ。なんか裏話とか聞いてたりしねーの?」

「別に、……特には」

「あのふたり、並んで立ってるの見たことあるけど、結構絵になるんだよなぁ。ふたりとも背ぇ高いし、佐久真もなんだかんだで黙ってればそこそこカワイイ顔してるし」



“黙ってればそこそこ”って、絶対褒め言葉じゃないよね、それ。

あーもう、早くこの場を去りたい。けどもう少しで昼休み終わるし、たぶんそろそろ、あの人たちもオフィスに戻ると思うんだけど……。


こっそり様子を見ようと角から少しだけ顔を出しかけたところで、また自分の名前が出たのがわかったから、あわてて顔を引っ込めた。



「つーか伊瀬と佐久真、結構仲良いじゃん。おまえらこの機会に付き合っちゃえば?」

「……なんですか、それ」



浅尾さんの言葉に対する、伊瀬の呆れたような声が聞こえる。

……どくん。どくん。

壁に背中をぴたりとつけながら、心臓が、やけに嫌な音をたてた。
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