キミとの距離は1センチ
視線を上げて、唖然とする。

なぜか宇野さんが、おなかを抱えて爆笑していたからだ。



「あ、あははっ、あはは……っ!! た、珠綺ちゃん、そんなことずっと悩んでたの?!」

「え……」

「くくくっ、ま、まあ、俺の言い方も悪かったと思うけど……っ」



この状況を理解できず、ぽかーんと間抜けな顔で、ただただ宇野さんを見上げる。

ひとしきり笑い終わったのか、彼は目尻に溜まった涙を拭ってようやく呼吸を整えた。



「ご、ごめんね珠綺ちゃん、いきなり笑ったりして」

「い、いえ……」

「ふは、うん、ほんとごめん。俺もきみの鈍感っぷりは、わかってたはずなのにね」



どこか遠くを見るようにわたしから視線を外して、宇野さんはつぶやいた。

それから再び、まっすぐにこちらを見つめる。



「俺も、この件についてちゃんと話したかったんだ。……あの、『利用してた』って言葉はね……実はそんなに、悪い意味で使ったわけじゃないんだよ」

「え?」

「珠綺ちゃんは、俺のことが好きだったでしょう?」



その質問に、わたしはためらうことなくうなずいた。

それを見て、宇野さんがまた微笑む。
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