キミとの距離は1センチ
「す、みませ……」
「あのさ、『すみません』って繰り返してるばっかじゃなくて──」
さなえちゃんは涙こそ堪えているものの、うつむきがちで顔色も悪い。……こうして見ると、ふたりはまるでハムスターとコブラだ。
……やっぱり、このままにはしておけないよね。
そう思ったわたしが椅子から腰を浮かしかけたとき、ちょうど、出入口のドアが廊下側から開かれた。
「……なにこれ。どんな状況?」
オフィスに入って来るなり、中の異様な雰囲気を察して眉をひそめながらつぶやいたのは、たまたま席を外していた伊瀬だ。
近くにいた同僚が彼に事の顛末を耳打ちして、ますますその顔が険しくなる。
「あほくさ……」
言いながら、伊瀬は深くため息を吐くと。
なんのためらいも見せず、スタスタと渦中の女性ふたりに近付いて行く。
「木下さん」
伊瀬が名前を呼んだ瞬間、弾かれたようにさなえちゃんが顔をあげた。
その大きな瞳には、今にも決壊しそうなほどの涙が溜まっている。そんな彼女に、伊瀬は小さく微笑んだ。
「ごめんそれ、俺も手伝ったやつだよね? 何か不手際あった?」
「え……伊瀬さ……」
突然の彼の乱入に、さなえちゃんどころか新庄さんまでもが固まっている。
わたし含め、遠巻きに見ていた同僚たちは、固唾を飲んでその様子を見守った。
「あのさ、『すみません』って繰り返してるばっかじゃなくて──」
さなえちゃんは涙こそ堪えているものの、うつむきがちで顔色も悪い。……こうして見ると、ふたりはまるでハムスターとコブラだ。
……やっぱり、このままにはしておけないよね。
そう思ったわたしが椅子から腰を浮かしかけたとき、ちょうど、出入口のドアが廊下側から開かれた。
「……なにこれ。どんな状況?」
オフィスに入って来るなり、中の異様な雰囲気を察して眉をひそめながらつぶやいたのは、たまたま席を外していた伊瀬だ。
近くにいた同僚が彼に事の顛末を耳打ちして、ますますその顔が険しくなる。
「あほくさ……」
言いながら、伊瀬は深くため息を吐くと。
なんのためらいも見せず、スタスタと渦中の女性ふたりに近付いて行く。
「木下さん」
伊瀬が名前を呼んだ瞬間、弾かれたようにさなえちゃんが顔をあげた。
その大きな瞳には、今にも決壊しそうなほどの涙が溜まっている。そんな彼女に、伊瀬は小さく微笑んだ。
「ごめんそれ、俺も手伝ったやつだよね? 何か不手際あった?」
「え……伊瀬さ……」
突然の彼の乱入に、さなえちゃんどころか新庄さんまでもが固まっている。
わたし含め、遠巻きに見ていた同僚たちは、固唾を飲んでその様子を見守った。