キミとの距離は1センチ
「珠綺ちゃんと木下さん、席とっといてくれる? あそこ今空いてるし」

「りょーかいです。さなえちゃん行こー」

「あ、はい」



男共は残して、とっとと席の確保に向かう。

宇野さんが指し示した白い丸テーブルに、わたしたちは腰を落ち着かせた。



「伊瀬さん、すごいですね」

「ね。むしろ呆れるよね、あれは」



わたしがそう言うと、さなえちゃんがくすくす笑う。

それから楽しく談笑していたら、ふと、わたしたちのテーブルに近付く人影に気付いた。



「ねぇ、きみたち、かわいいねー」



……すげぇ。ほんとにこういう話しかけ方してくる人いるんだ。

半ば感心しながら、わたしは目の前にいる知らない男性ふたり組を見上げた。



「今ヒマ? 俺たちこれから、メシ行こうかって言ってたんだけどー」

「きみたちも、よかったら一緒に行かない?」

「……えーと、」



ニコニコ、あくまで下心ありませんよ~って言わんばかりのうさんくさい笑顔を貼り付けているそのふたりは、揃って茶髪の色黒だ。

この人たち、どこで日焼けしたんだろう。ここは屋内だし、海かな。海行ってプール行って、どんだけ泳ぎたいんだよこの人たち。
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