《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼

「なっ…」


叫ぼうとした朱祢を手で制した。


「朱祢、ラスクは強大すぎるんだよ。歯が立たないんだ。異国の神々って言うより、世界規模の神々だよ」


「だからって……」

いつだって自分を正直に見せる朱祢は、恥辱に真っ赤に震え。


「逃げんのか!?こいつを野放しにしたら、危ないことぐらいわかんだろ!

確かにラスクは敵ながらに仲間だけど…だけど、危ないやつだってことぐらいわかんよ!」


「逃げはしないさ」


話は最後まで聞いてね、と穏やかに微笑む苑雛。どっちが大人か、もはやわからなくなる。

「だけど、野放しにはできないのは僕も同意見だよ。

だからね、僕は考えたんだ」

未だに苑雛の体の一部をベタベタ触ってる鸞を、今度こそ本当に離す。
そして朱祢のもとにいき、可愛い上目使いで話を続けた。


「ラスクくんより高位の異国の神々を呼んで、命令させる。

高位の神の命令に逆らえば、お仕置き(天罰)があるから」


神様の社会は、人間と酷似する。
社長(高位の神々)に逆らえば、首(天罰)になる。

なぜ異国かというと、会社に例えるなら、他の会社を首にされても全く痛くないが、自分が働く会社を首にされたら痛い――そんな感じだ。

ラスクの世界でこの掟が通用するかはわからないが、十中八九は成功するだろうと苑雛は見込んでいた。


「…でも、私にはそんな知り合いいねーぞ?高位はいても、異国の神々は……」


ぴた、と思考が止まった。

思い当たる節があったのだ。
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