《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
「今のは神具の力でしょ?」
「まあそうです」
黒庵から降ろされた彼は、またラスクと向き合った。
「とにかく、貴方…ラスクさんには帰っていただきます」
「でもねぇ、俺帰り方がわからないんだ。迷子なんだよ。召喚されたから来たら、なんか間違いだったみたいでね」
「それでさ迷ってた訳ですか。困ったものですね」
ため息をついたものの、彼はあまり表情を崩さなかった。
「ここにいるのは楽しいですか?」
「そうだなぁ、まあ平和すぎてちょっと俺には合わないかな」
「そうでしょう」
にっこりと彼は笑って。
「なら私が貴方を帰してあげましょう」
「君にそんなことができるのかなあ?」
「はい。だって私は、貴方より上の神様ですから」
ラスクに歩みより、その黒い翼を見た。
「この世界ではありませんね?悪魔的な世界でしょう」
「お、よくわかったね!俺ら召喚される前はそこにいるんだ」
「なるほど。まあ私の許容範囲内です、連れて帰れます」
その言葉に、ラスクは耳を疑った。
目の前の奴の正体が掴めない。
少年でないのは確か、なら――