裏ヤン先生に愛されます


「あいちゃん、怖かったで」

「…喧嘩十分強かったじゃんか」

「違うんや…」

今にも泣きそうな声だった。あたしは奏平を見つめたが、

上手く顔が見えない。

「…あいちゃんがおらへんともう、あかんのや…」

不良たちは去っていく。あたしの縄もほどけた。

奏平はあたしにすがるようにずっと抱きしめていた。

一瞬だったけど、凄く怖かった。

だから、奏平が泣いてくれたおかげで、自分も涙が止まった。

(奏平のおかげだよ…いつも…)

もう、奏平を待たせれないと思った。

気持ちもちゃんと答えなきゃ。

あたしはその後、家に送ってもらった。

センセーの別れの日まで、もうそろそろ。

あたしは泣かないで、別れを言うよ。

だから、センセーは幸せになってください。

喧嘩の事件の後、次の日になると空はいつも通りの快晴。

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