新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「まあまあ、お手並み拝見してからでも遅くない」

只でさえ、女ばかりの屯所で萎縮している翡翠。

土方は、局長である近藤が自ら攻めては、更に翡翠が萎縮してしまうと思い、近藤をなだめた。


「7日間だけです。7日間で成果がでなければ、即刻中止です」


「了解」

快く返事はしたものの、土方自身、翡翠の秘策が果たして成果をもたらすかどうか、半信半疑だ。

当の翡翠は芹沢の1件以来、数日臥せっている。

土方は翡翠が、夜中にうなされ幾度も目覚め、眠れていないようだという山南からの報告も聞いている。

近藤を局長に据え、新体制を敷き隊士募集もかけ、人選している最中、土方は諸々の雑務に追われている。

が、何故か翡翠のことを放ってはおけない。

芹沢が最期に呟いた、翡翠への言葉「強くなりなよ」が、土方の耳朶に焼き付いてはなれなかった。


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