新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「土方ーーーっ、なめてんじゃねぇーーっ。
覚えとけよ!! 口ん中、竹刀ぶちこんで歯ガタガタにしたるからな!!」


ドッと湧く笑い声の中、土方は翡翠の叫び声を聞きながら呟く。


「どうやら正気に戻ったようね。
頭に血が登ってるようだが、怯えて畏縮するよりずっといい」


「大丈夫なんですか?」


「熱ならば直ぐに冷める」

山南は驚きながら、翡翠を宥める。


土方から翡翠の事情を聞き、山南は多感な少年が異性に怯え震え出す――そんな状態が可哀想だと感じている。

だが、ちんたーーーっと叫んだ土方の言葉に怒り、怒鳴り返せたことが何故か、自分のことのように嬉しいと感じる。


「始め」



山南の合図に翡翠の表情が一変する。



真っ直ぐ、正眼に構えた竹刀。
沖田の遥か後方を見つめる瞳。



沖田は、その威圧感に驚く。




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