新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「へえ、そうどす。うちはまだ創業から、20年ほどどすけど100年、150年続くように金平糖屋の看板守りながら、色んな色の金平糖も研究していきたい思うてます」



「楽しみですね」


翡翠くんの世界、150年先にも確かにある金平糖の店。
気持ちが高ぶる。


「水色や桜色や藤色、七色の金平糖ができたらええな~」



店主が目を丸くして、翡翠くんを見る。


キラキラした翡翠くんの目に、胸がトクンと跳ねる。



「1升ください。半分ずつ分けて」



「へぇ、おおきに。包装かけてきます」



星がいっぱい。
夜空に手を伸ばしても届かない星が、間近にある。


そんな気がする。


「翡翠くん、ずっと先までもつながっている物もあるのよね。金平糖みたいに」



150年、受け継がれ人の心を癒す物もある。
こんな時代でも……。
受け継がれて先の時代に残っていく物もある。



翡翠くんは頼りなく頷いて金平糖を1粒、口に入れ微笑んだ。
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