ラブ・カクテル
それでも恵理姉からしたら、折れてくれた方だ。


始めに「お店で働きたい」と言った時なんて、即答で「ダメ」と言われたし。


「今のあたしにとって、お店に立ってる時が1番楽しい」

「あっそ」


恵理姉は自分から聞いてきたくせに、興味がなさそうな態度で答える。


これは、好きな人にしかわからないことなのかもしれない。


だって、1つのお酒がいろんな味に変化するんだもん。


それって、まるでバーテンダーが魔法使いみたいじゃん。


「恵理姉、ありがとね」


何故か、そう言いたくなった。


「何よ、改まって」

「ううん。恵理姉の彼氏がオーナーでよかったなぁって思っただけ」

「それって、あたしへの「ありがとう」って意味じゃなくない?」


そう言って、恵理姉は笑った。

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