ひまわり
ピッ──ガコン
緑茶のペットボトルを選んで買う。

購買の近くに扉があり、開きっぱなしになっている。
ビュゥゥゥと冷たい風が吹いてきて、私は身震いした。

早く教室に戻ろうと歩きだす。

「…あの永峰さん?」

後ろから声をかけられて振り向く。
すると目の前に立っていたのは、見覚えはあるけど名前のわからない男子。
ほんのり茶色い髪が短く無造作にセットされている。
背は・・・遼くんより小さいかな?
自信はないけど、たぶん同じ学年。
八クラスもあるから、クラスが違うと顔も知らなかったりする。

「えっとー…なんですか?」

「俺、一組の森伸也(もりしんや)って言います。知らないですよね?」

「…ごめんなさい。見覚えはあるんですけど…。」

名前を聞いてもピンとこなかった。
ちなみに私は六組。
一組じゃ関わりないなぁ~

「そうですよね。急に話しかけてごめんね。」

「いえ…私に何か用ですか?」

「…連絡先を教えて欲しいんですけど…。これ!俺のLINEのIDなんで!連絡下さい!!」

「へ!?あ…あの!!」

森伸也と名乗った男子は、一方的にメモの様な紙を渡して、私の前から去っていった。

その場に残された私は呆然と立ち尽くしてしまう。
手にはお財布と買ったばかりの緑茶のペットボトル。
その間に押し込まれているような形で、渡された半分に折られている一枚の紙。

お財布と緑茶を落とさないように気を付けながら、渡された紙を広げる。
そこには確かに、LINEのIDが書かれていた。

「…どうしようかなぁー。」

ポツリと呟きながら考えてみる。

でも答えは出なくて、どうすればいいかわからなかった。
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