ひまわり
困った私は、教室で待っている親友に助けを求めた。

「お帰り~。遅かったね。お昼休み終わっちゃうよ?」

呑気にスマホをいじっている愛実に、今あったことを話した。
初めは驚いたように目を開く愛実。
でも話を聞き終わると、ニヤニヤとした怪しげな笑顔を見せた

「やーん♪結麻ってばモテモテ〜♪」

「…からかわないでよ~。全く知らない人なんだからぁ~。」

私は少し頬を膨らましながら、机に両腕をついて顔を支える。
まだお弁当が少し残っていたが、なんだか食べる気がしない。
せっかく買ってきた緑茶も口をつけることを忘れていた。

「それに連絡先を渡されただけだし…モテてないもん。」

あまりにも私がむくれるからか、愛実はなだめるように話をする。

「からかってごめんー!そんな顔しないでよ。ね?ちゃんと相談のるからさ。」

「んー…。相談っていうか、IDを渡されて私はどうすればいいわけ?」

モヤモヤと思っていたことを正直に聞く。
どうすればいいかなんて、自分でわかっているはずなのに、そうすることを拒みたくて誰かに意見を聞きたかった。
聞かれた愛実は、キョトンとした顔をしていた。

「どうすればいいって、連絡すればいいんじゃないの?」

やっぱりそうだよね・・・
思っていた通りの返事にガックリとする。

「…わかってるけどさ。私、森くんって人のこと何にも知らないんだけど。」

知らない人に自分からLINEをする。
この行為が私の性格上、したくないと思ってしまう。

「私も森くんってよく知らないなぁ…。バスケ部だった気がするんだけど。」

「バスケ部?」

「うん。バスケ部のユニフォームを着てるのを見たと思うんだよね。…あっ!泉谷!!」

タイミング良く教室に戻ってきた遼くんを、愛実が大きな声で呼んだ。
突然呼ばれて遼くんは、不思議そうにこっちに向かってくる。
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