私と彼の恋愛理論
彼女との日々はいつも穏やかだった。
彼女は俺とは正反対の性格で、直感や感覚をたよりに生きていたが、周りに流されることなく、いつでも自分の思った通りに行動する。
時には、余りに危なっかしい判断をする彼女に俺が正論で説得したりすることもあるが、ちゃんと俺の話は聞き、議論も交わした上で、肝心な部分は曲げない。
そういうところに、何故か俺は安心していた。
たぶんこれが、俺の意見の言いなりになったり、逆に全く耳を貸さないような女なら、こんなにもうまくいかなかっただろう。
事実、過去に付き合った女たちは、そうだった。
しかも、まどかは実に懐の深い女だった。
深夜まで残業した時は、会社から近いまどかの家に泊まっていた。
合い鍵で部屋に入って、彼女のベッドに潜り込む。
普通だったら、迷惑以外の何者でもないはずなのに、まどかは目をこすりながら、お疲れさまと言ってくれた。
ただ、疲れた時に彼女の顔を見たかった。
抱きしめて朝まで眠れば、不思議と次の日に疲れが残らなかった。
週に何度かはそのまま彼女を抱いた。
とにかく可愛くて、愛おしくて我慢できなかった。
そんなめちゃくちゃな俺の行動の全てをまどかは許してくれた。
まるで、俺の気持ちは全てお見通しだと言わんばかりに、いつも俺を優しく包み込むように、応えてくれたのだ。
もうきっと、これ以上の女になんて出会えないと思った。
一度もそんなこと口にしなかったけれど。