私と彼の恋愛理論

「寝に来るだけって、完全にホテル代わりじゃないの。」

里沙は再び呆れた声を上げる。

「寝る…だけじゃないもん。」

「じゃあ、朝ご飯食べに？まどかのことだから、どうせ朝からちゃんとした朝食作ってるんでしょ。」

「確かに、ご飯も食べるけど…。」

歯切れの悪い私の様子を見て、隣の鋭い親友は何かを嗅ぎ取ったようだ。

「え…まさか…。」

里沙は信じられないといった顔で、私をのぞき込んでいる。
私は恥ずかしさで、さらに俯いてひたすら手を動かし続ける。

「夜中から…したの？」

はっきり確認されて、私はますます顔が上げられなくなった。
自分で話しておいて今更だと思うが、この手の話はやはり恥ずかしい。
私は里沙の俯いたまま、こくりと頷いた。

「まあ、確かに夜中にちょっと起こされたくらいで、寝不足にはならないか。」

妙に納得した里沙は、さらにつっこんだ質問をしてくる。

「もしかして毎晩？」

「まさか…週に１回くらいかな。」

「付き合って３年でそれなら、多い方なんじゃない？」

「そんなもん？」

「さあね。」

やや恥ずかしさは薄らいだものの、私は依然として俯いたまま、手元の作業に集中していた。

眠気を飛ばすのに、多少の刺激的な会話は効果的である。



昨日、おかえりとただいまといういつもの挨拶をベッドの中で交わした後。
尚樹はゆっくりと唇を重ねてきた。

半分寝ぼけた私に触れるだけの優しいキス。
これは、二人の中の合図だ。

まだぼんやりしている視界で尚樹を見つめれば、すでに熱っぽい視線を私に向けていて。
もう一度唇が重なった時には、彼の意思がはっきりと見て取れた。

「…んっ、尚樹、ちょっと待って。」

激しくなるキスの合間に、目覚めるための時間を要求する私。

「…ダメ？」

一応確認されるが、基本的に拒否されないことを彼は知っている。

「ダメじゃ、ないけど。」

そう言って、私は彼の首に腕を回した。