Closed memory
風に木の枝が靡き、小さな旋風を作り、消えていく。
空は青く、凍てついた雲は、俺たちの頭上に漂っていた。
「……京、俺さ」
蘭丸は木の棒で子供のように地面に絵を描きながら、俺に話し掛けた。
「……俺さ、齋藤先生と試合して、気づいたよ。俺ってさ……やっぱり弱いなぁ……って」
下を向いているから、蘭丸の顔は見えない。
だけど、長年の勘からか、蘭丸が自笑しているのが感じられた。
最後の方は小さ過ぎてよく聞こえなかったけど、蘭丸が何が言いたいのかは、察しがついた。
「……京はさ、あの勝負。もし齋藤先生が怪我なんてしてなかったとしても、十分勝てたと思うよ」
ーーもしーー
なぜかその言葉に引っかかった。
「……京は、やっぱり……俺なんかと比べものにならないくらい……強いよ」
「やめろ」
自分でも驚くくらい低い声が出た。
蘭丸の絵を描いていた手がピクリと跳ねる。
「……やめろ、蘭丸。それ以上、何も言わないでくれ」