追いかけても追いかけても
「おい!あゆ!」
ビクッ
顔を上げると奏多が私を見ている。
由紀も直樹も驚いたような顔をして私を見ていた。
「なんで泣いてんの?」
「え?泣いてる?」
奏多に言われて頬を触ると濡れている。
服の袖も濡れていた。
「夢?奏多?」
さっきのは夢だったのか。
あまりに嫌な夢で、いつか現実に起きそうで怖くてたまらない。
「は?夢見て俺の名前泣きながら呼んだのか?」
理解ができないと言うように話す奏多に私は小さく頷く。
「大丈夫?あゆめっちゃうなされてたし、急に奏多のこと呼ぶし。起きたら泣いてるしびっくりなんだけど…」
由紀が心配そうに私の背中を撫でる。
「うん。怖い夢見た。」
夢の内容を伝えるのは嫌でそれだけ伝えた。
「お前が泣かしたんじゃねえの?」
なんて暗い雰囲気を消すように笑いながら直樹が奏多を軽く叩く。
由紀も頷いて「最低!」と奏多を責める。
責められた奏多は納得いかなそうに文句を言っている。