追いかけても追いかけても

「おーい。支度終わってんの?」
急に聞こえてきた声に顔を上げると、支度が終わった奏多が私を見下ろしていた。

「うん!もう行けるよー」
返事をして立ち上がる私を見て先に玄関へと向かって行く奏多。
それを追いかけて私も進む。

学校は奏多のアパートから徒歩で15分くらいで私は1限からある日は泊まってそこから行っている。

歩くとき奏多は私の手を引いて半歩先を進んで行く。
子どものように引っ張られるけれど隣を歩けないのは私の中に罪悪感があるからだろうか…

少し先に友だちが歩いているのを見つけると手を離して友だちを呼ぶ。
その笑顔は私に向けるものとは違い本当に楽しそうなんだよね。
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