追いかけても追いかけても


いつの間にか眠っていたのか。
体の拘束を感じ横をむけば奏多が私を抱きしめて眠っていた。


起こさないよう腕から抜けようとしているとギュっと抱きしめられた。

「起きてたの?」

「起きたの。お前が動くからー」

不満そうに言うけどその顔は笑顔だった。

「離して!服着るの!」

恥ずかしくて俯いてしまう。
解かれた腕から抜け出して服を身に付ける。
奏多も起き上がって服を着ながら「さみいな」なんて言って抱きついてくる。


こんな風にふざけるのは久しぶりだ。
嬉しくて憎まれ口を叩こうとするのに顔がにやけてしまう。


< 81 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop