恋愛事案は内密に
5月の連休明けから仕事がスタートすることになった。

緊張のなか、連敗ストップしたスーツを着て、会社に向かう。

通勤途中の5月の風は心地よく、私の頬を撫でた。

「おはようございます。森園です」

「高清水麻衣です。よろしく。どうぞ、こちらへ」

先日、応対してくれた栗色に軽くパーマをあてたボブヘアの黒いベストを着た女性が奥へ案内した。

中に入ると、ロボット用の試作機が並んだ試作室があり、その奥に事務所がある。

部屋に這うようにしつらえた棚には本や書類が納められ、その中央に向かい合わせるように四つの事務机が並んでいた。

「ここがあなたの席です」

黒いベストの人の隣、入口に近い席がわたしの席だ。

白い事務机にはビニールで包まれた制服がおかれていた。

「今日はいいですから。明日から入口から入って右にある部屋がロッカー室なんでそこで着替えてください」

「わかりました」

「おはよう」

右耳に髪をかけた副所長がやってきた。

「おはようございます」

「今日からだったわね。よろしく頼むわね」

「よろしくお願いします」

やわらかな笑顔で返し、窓際の席に座った。

すると、力いっぱいドアを開ける音がする。
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