あの頃の君へ
携帯は繋がらないし、入院してしまうから住所だって意味がない。
念のため、陽子さんが電話番号とメールアドレスを教えてくれたけど、拓真はきっと応じてくれないだろう。
最後まで私に嘘をついて、行ってしまったんだから……
どうしようもなくて明け暮れていると、無機質なインターホンの音が部屋に響いた。
出たくなかったのに、あまりにもしつこく鳴らすので仕方なく玄関の扉を開けた。
「どなたで……」
「あの、吉岡さん…ですよね?」
そこにいたのは拓真の同級生の森下さんだった。
「あ、はい……」
すると森下さんは私の目が赤いのに気が付いたのか、ハンカチを差し出し、少し申し訳なさそうに頭を下げた。