世界でいちばん、大キライ。
*
その頃。
気まずい思いを胸に、久志は歩幅を合わせるようにゆっくりとマンションに向かっていた。
〝気まずい思い〟というのは、もちろん、桃花に対してもあるが、今は隣を歩く相手に……。
「信じらんない! バカ! エロオヤジ! 人でなしっ!」
路上で遠慮なく罵声を浴びさせられる久志は、溜め息と共に低く抑えた声で言う。
「おい。言葉は選んで言え。まだ明るいうちに、変な目で見られるだろ」
「全部、自分のせいでしょっ。あたしが声掛けなかったら、今頃ふたりでなにしてたんだか!」
まるで浮気未遂を咎められている彼氏のような気分に陥る久志は、テキトーな返事をしながらポケットに手を突っ込んで、また息を吐いた。
そんな態度の久志に、まだ気持ちの昂ぶりが収まらないでいたのは麻美。
麻美はあの後近くをうろうろとしながら桃花を探し、諦めかけてマンションに戻ろうとしたところに久志と水野のツーショットに遭遇した。
なんとなく予想はしていたけれど、いざ、それを目の当りにしてしまったら、そこは小学生。黙って見過ごすことなど出来ない。
年齢もそうかもしれないが、麻美の性格上からも、そんな久志を見逃すことなんか毛頭なかった。
そうして、後ろからふたりの間を邪魔するように声を掛け、笑顔で自己紹介がてら挨拶をしてきた水野に対しても、一度も笑い掛けることもせず。
ただ、興味なさそうな目と声で対応していたら、水野自ら「用事を思い出したので」と戦線離脱していったのだ。
その頃。
気まずい思いを胸に、久志は歩幅を合わせるようにゆっくりとマンションに向かっていた。
〝気まずい思い〟というのは、もちろん、桃花に対してもあるが、今は隣を歩く相手に……。
「信じらんない! バカ! エロオヤジ! 人でなしっ!」
路上で遠慮なく罵声を浴びさせられる久志は、溜め息と共に低く抑えた声で言う。
「おい。言葉は選んで言え。まだ明るいうちに、変な目で見られるだろ」
「全部、自分のせいでしょっ。あたしが声掛けなかったら、今頃ふたりでなにしてたんだか!」
まるで浮気未遂を咎められている彼氏のような気分に陥る久志は、テキトーな返事をしながらポケットに手を突っ込んで、また息を吐いた。
そんな態度の久志に、まだ気持ちの昂ぶりが収まらないでいたのは麻美。
麻美はあの後近くをうろうろとしながら桃花を探し、諦めかけてマンションに戻ろうとしたところに久志と水野のツーショットに遭遇した。
なんとなく予想はしていたけれど、いざ、それを目の当りにしてしまったら、そこは小学生。黙って見過ごすことなど出来ない。
年齢もそうかもしれないが、麻美の性格上からも、そんな久志を見逃すことなんか毛頭なかった。
そうして、後ろからふたりの間を邪魔するように声を掛け、笑顔で自己紹介がてら挨拶をしてきた水野に対しても、一度も笑い掛けることもせず。
ただ、興味なさそうな目と声で対応していたら、水野自ら「用事を思い出したので」と戦線離脱していったのだ。