世界でいちばん、大キライ。
「ありえないから! あたし(ひと)に用事押し付けて、他の人にいい顔見せるなんて!」
「いい顔もなにもねーって。それに、水野さんは麻美に、って色々持ってきてくれたんだぞ?」
「……別に頼んでないし」
「ホント、可愛くねーな。昔の方がよっぽど素直で可愛かったぜ」
久志はつい、今日、自分がしてしまったことのバツが悪い思いを麻美に八つ当たりしてしまう。
悪いのは麻美じゃない。自分の選択した全てがこういう結果を招いただけなのに。
けれど、それに気づいたところで訂正することももう叶わず。
ただ、自分の肩の位置になる麻美の頭を見下ろして様子を窺った。
麻美はというと、久志が懸念している通り、今最後に言われた言葉が胸に突き刺さったまま。
小さな唇をきゅっと噛んで、俯いたまま隣で歩いていた。
「……麻」
「コレ。返す」
久志の言葉を無視して、麻美はそっぽを向きながら手を伸ばした。
麻美の手から受け取ったものは、今日、桃花に渡す約束だったはずのもの。
大きな手のひらに乗せたチャームに視線を落として、久志はまた口を噤んだ。
(麻美ともすれ違って会えないまま、オレが女連れで鉢合わせしたら……そりゃ相当傷つけたよな)
弱弱しくそれを握り、ジャケットのポケットに仕舞い込む。
秋風に紛れて漏れていく、もう何度目かわからない久志の溜め息。
久志の頭の中は、どんな内容にしろ、完全に桃花一色に染まっていく。
それは、マンションに着いてもずっと変わらなかった。
「いい顔もなにもねーって。それに、水野さんは麻美に、って色々持ってきてくれたんだぞ?」
「……別に頼んでないし」
「ホント、可愛くねーな。昔の方がよっぽど素直で可愛かったぜ」
久志はつい、今日、自分がしてしまったことのバツが悪い思いを麻美に八つ当たりしてしまう。
悪いのは麻美じゃない。自分の選択した全てがこういう結果を招いただけなのに。
けれど、それに気づいたところで訂正することももう叶わず。
ただ、自分の肩の位置になる麻美の頭を見下ろして様子を窺った。
麻美はというと、久志が懸念している通り、今最後に言われた言葉が胸に突き刺さったまま。
小さな唇をきゅっと噛んで、俯いたまま隣で歩いていた。
「……麻」
「コレ。返す」
久志の言葉を無視して、麻美はそっぽを向きながら手を伸ばした。
麻美の手から受け取ったものは、今日、桃花に渡す約束だったはずのもの。
大きな手のひらに乗せたチャームに視線を落として、久志はまた口を噤んだ。
(麻美ともすれ違って会えないまま、オレが女連れで鉢合わせしたら……そりゃ相当傷つけたよな)
弱弱しくそれを握り、ジャケットのポケットに仕舞い込む。
秋風に紛れて漏れていく、もう何度目かわからない久志の溜め息。
久志の頭の中は、どんな内容にしろ、完全に桃花一色に染まっていく。
それは、マンションに着いてもずっと変わらなかった。