世界でいちばん、大キライ。
「あたしのわがままで、仕方なく引き受けて、面倒見てるだけってわかってる。……わかってるよ、そんなの。事実、まだあたし子どもだもん。つい、心にもないようなこと口にして、反抗的な態度取っちゃうもん」


『あなたは、麻美ちゃんにとって、すごく大切な存在なんだと思います』


あの時の言葉が、今なら少し、素直に受け取れられる気がする。
麻美を取り巻いているのはピリピリとした空気かと思っていたが、実際はそういうのではなさそうなことにようやく気付く。

そしてそれは、今だけの話ではなく、これまでの麻美の態度もそうだったのかもしれない。
鬱陶しがられてたのが理由ではなく、自分をどう表現したらいいのかと思い悩んでいたのかもしれない。

そう、冷静に感じることが出来たのは……なぜなのか。

そんなことを自分に問いかけていると、半身振り向くような体勢で麻美が怒り口調で続けた。

「でも、だからって、そうやってなんにも口にしなければわからないってほど、子どもじゃないし!」

それは具体的にどのことを指しているのか、久志にはわからなかった。
けれど、麻美はそんなこと構わずに、ぽつぽつとまた言葉を繋いでいく。

「……ただ、子ども扱いっていう、優しい態度だけされたって……確かに、わがまま言ったのはあたしだけど。でも、ヒサ兄がそんなふうになるなんて思わなかったから」
「そんなふう……って、お前」
「あたしのせいで、彼女と別れるハメになったって言えばいーのに」
「あっ、アホか! んなこと言えるわけねーっ……つーか、別に麻美のせいとかじゃねぇし」

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