世界でいちばん、大キライ。
ついこの間までおむつをしていたような気がする麻美に、恋愛絡みで叱咤を受ける日が来るなんて……。
そんな衝撃に、ぽかんと立ち尽くしていた久志に、麻美は最後の追い討ちを掛けるようにペラペラと捲し立てる。
「知らないよ? どうせ今、優先してくれてるあたしはあと数か月でいなくなるし。桃花さんだって、いつまでもヒサ兄のこと待ってないだろうし。そうしたらヒサ兄はずっと寂しく毎日を送り続けるんだね。あー、可哀想」
子どもなりに、ずっと見てきてくれたのだろう。
35にもなる叔父を傍で見て、その不甲斐ない姿も不器用な言動もすべて。
「はぁっ」と降参したような大きな息を吐いた久志は、軽く項垂れた。
「そういう、うるさくてお節介なところが姉貴と似てるっつーの」
「ちょっ……どこに」
言い終わるや否や、恥ずかしさや情けなさから麻美の顔をみることをせずに、今しがた脱いだばかりの靴に足を突っ込んだ。
生意気言って気分を害したから家を出ていくのかと瞬時に過った麻美は、動揺しながら声を掛ける。
すると、久志は玄関のドアノブに手を添えたまま止まって、振り返ることなく零した。
「いつの間にか大きくなりやがって。オレだけ成長してないみたいじゃねぇか」
久志の耳が薄らと赤くなっている気がした麻美は、怒っているわけじゃないのだと胸を撫で下ろす。
そして同時に、これから向かう先を予想して、つい笑いを漏らした。
「……してないじゃん」
「うるせ。大人しく宿題でもしてろ」
久志の左手はポケットに入れたまま。
その中にある小さな感触と共に、麻美を置いて久志は玄関を出て行った。
そんな衝撃に、ぽかんと立ち尽くしていた久志に、麻美は最後の追い討ちを掛けるようにペラペラと捲し立てる。
「知らないよ? どうせ今、優先してくれてるあたしはあと数か月でいなくなるし。桃花さんだって、いつまでもヒサ兄のこと待ってないだろうし。そうしたらヒサ兄はずっと寂しく毎日を送り続けるんだね。あー、可哀想」
子どもなりに、ずっと見てきてくれたのだろう。
35にもなる叔父を傍で見て、その不甲斐ない姿も不器用な言動もすべて。
「はぁっ」と降参したような大きな息を吐いた久志は、軽く項垂れた。
「そういう、うるさくてお節介なところが姉貴と似てるっつーの」
「ちょっ……どこに」
言い終わるや否や、恥ずかしさや情けなさから麻美の顔をみることをせずに、今しがた脱いだばかりの靴に足を突っ込んだ。
生意気言って気分を害したから家を出ていくのかと瞬時に過った麻美は、動揺しながら声を掛ける。
すると、久志は玄関のドアノブに手を添えたまま止まって、振り返ることなく零した。
「いつの間にか大きくなりやがって。オレだけ成長してないみたいじゃねぇか」
久志の耳が薄らと赤くなっている気がした麻美は、怒っているわけじゃないのだと胸を撫で下ろす。
そして同時に、これから向かう先を予想して、つい笑いを漏らした。
「……してないじゃん」
「うるせ。大人しく宿題でもしてろ」
久志の左手はポケットに入れたまま。
その中にある小さな感触と共に、麻美を置いて久志は玄関を出て行った。