世界でいちばん、大キライ。
桃花の態度が一変すると、久志も思わずくるりと身体を返して桃花と向き合った。
どこか責められているような桃花の瞳に、久志は罪悪感に似たようなものを感じてふいっと顔を横に逸らす。
「……この間の〝コト〟……【悪かった】っていうのは、〝なかったことにしたい〟ってことですか?」
追い詰めるように桃花が口にすると、久志は僅かに切れ長の目を大きく開いた。
そんな小さな変化に気付く余裕もない桃花はさらに言葉を重ねる。
「さっきの女性(ひと)がいるからですか?」
「水野さん(あのひと)は関係ねぇ」
「私も、久志さんの中では〝関係ない〟って思われてますか?」
「関係ないって言えたら苦労しねぇよ!」
思わず声を大きくして即答してしまった久志は、目を丸くした桃花を見てハッとする。
自分のその心にかかっている靄の正体がなんなのか、久志にはまだ明確になっていない。
ただ、モヤモヤと晴れない気持ち。
自分の気持ちと行動が一致していないような居心地の悪さ。
けれど、それに気づいて素直になれるほど簡単な性格ではなかった。
「でも……んな、単純なことじゃねぇだろ……だって」
自分で自分の気持ちに気付けない人間は、意外に少なくないのかもしれない。
それは恐らく久志にも当てはまるようなもので……。
桃花(相手)の年齢とか、夢とか。自分との相違点ばかりを上げては、ブレーキを掛ける。余計なことばかりが先に浮かんでしまって、その奥にある核心に自分でも近づけない……触れられない。
そんな自分の正体にすらたどり着けずに困惑した様子を見せる久志に、桃花は持論をぶつける。
「久志さんはきっと、難しく考え過ぎだと思うんです。仕事とか立場とか環境とか全部取っ払って、そこに残る気持ちが〝そう〟なら、それが答えでいいと思うんですけど」
どこか責められているような桃花の瞳に、久志は罪悪感に似たようなものを感じてふいっと顔を横に逸らす。
「……この間の〝コト〟……【悪かった】っていうのは、〝なかったことにしたい〟ってことですか?」
追い詰めるように桃花が口にすると、久志は僅かに切れ長の目を大きく開いた。
そんな小さな変化に気付く余裕もない桃花はさらに言葉を重ねる。
「さっきの女性(ひと)がいるからですか?」
「水野さん(あのひと)は関係ねぇ」
「私も、久志さんの中では〝関係ない〟って思われてますか?」
「関係ないって言えたら苦労しねぇよ!」
思わず声を大きくして即答してしまった久志は、目を丸くした桃花を見てハッとする。
自分のその心にかかっている靄の正体がなんなのか、久志にはまだ明確になっていない。
ただ、モヤモヤと晴れない気持ち。
自分の気持ちと行動が一致していないような居心地の悪さ。
けれど、それに気づいて素直になれるほど簡単な性格ではなかった。
「でも……んな、単純なことじゃねぇだろ……だって」
自分で自分の気持ちに気付けない人間は、意外に少なくないのかもしれない。
それは恐らく久志にも当てはまるようなもので……。
桃花(相手)の年齢とか、夢とか。自分との相違点ばかりを上げては、ブレーキを掛ける。余計なことばかりが先に浮かんでしまって、その奥にある核心に自分でも近づけない……触れられない。
そんな自分の正体にすらたどり着けずに困惑した様子を見せる久志に、桃花は持論をぶつける。
「久志さんはきっと、難しく考え過ぎだと思うんです。仕事とか立場とか環境とか全部取っ払って、そこに残る気持ちが〝そう〟なら、それが答えでいいと思うんですけど」