世界でいちばん、大キライ。
(……桃花さんだ。メールするって言ってたから……きっと、大事なメール)
ドクドクと鳴る心臓と早まる呼吸で暫く携帯を見つめる。
そして、廊下へと耳を澄ませ、シャワーの流れる音を確認すると、今一度携帯電話と向き合った。
そっと手を伸ばし、久志の黒い携帯に指先を触れさせる。心拍音はこれ以上にないほど騒ぎ立て、今、声を掛けられたら間違いなく口から心臓が飛び出てしまいそうなほどだ。
それでも麻美はその行動を止めることをせず、震える指先で携帯を手に取った。
人差し指を画面に滑らせると、【パスコード入力】と表示され、びくっと小さく肩を上げる。
ドクドクと間隔の速い心音のまま、少しでも落ち着こうと大きく息を吐いた。
ものは試し、と好奇心にも似た思いで、久志の誕生日を入れてみる。すると、あっさりとロックが解除されてしまった。
「いまどき、自分の誕生日って……」
若干呆れながらも、携帯画面は勝手に桃花のメールを開示する。
『盗み見はいけない』と最後まで僅かな良心が訴えつつも、すでに眼下に見えるメールに負けて、視線を落としてしまった。
【しつこくメールまでしてすみません。これを最後にしますから……。次の金曜日――。もし……お店に来てくれたなら、私はあなたを諦めません。でも、もし姿が見えなければ……もう、声を掛けません】
桃花の決死の思いのメールを見て、麻美は言葉を失う。
自分が大人だったとして、自分は好きな相手にこんなふうに真っ直ぐとぶつかっていけるだろうか。
そんなことが頭を掠めつつ、真剣な面持ちでその数行に詰まった桃花の想いを感じ取ろうとする。
数秒画面を見つめた後、ゆっくりと麻美は人差し指で操作した。
そして、麻美がとった行動は――……。
【メールを削除しますか?】
その表示に吸い込まれるように軽く指を置くと、次に携帯に出たのは【消去しました】という冷たい一文だった。
ドクドクと鳴る心臓と早まる呼吸で暫く携帯を見つめる。
そして、廊下へと耳を澄ませ、シャワーの流れる音を確認すると、今一度携帯電話と向き合った。
そっと手を伸ばし、久志の黒い携帯に指先を触れさせる。心拍音はこれ以上にないほど騒ぎ立て、今、声を掛けられたら間違いなく口から心臓が飛び出てしまいそうなほどだ。
それでも麻美はその行動を止めることをせず、震える指先で携帯を手に取った。
人差し指を画面に滑らせると、【パスコード入力】と表示され、びくっと小さく肩を上げる。
ドクドクと間隔の速い心音のまま、少しでも落ち着こうと大きく息を吐いた。
ものは試し、と好奇心にも似た思いで、久志の誕生日を入れてみる。すると、あっさりとロックが解除されてしまった。
「いまどき、自分の誕生日って……」
若干呆れながらも、携帯画面は勝手に桃花のメールを開示する。
『盗み見はいけない』と最後まで僅かな良心が訴えつつも、すでに眼下に見えるメールに負けて、視線を落としてしまった。
【しつこくメールまでしてすみません。これを最後にしますから……。次の金曜日――。もし……お店に来てくれたなら、私はあなたを諦めません。でも、もし姿が見えなければ……もう、声を掛けません】
桃花の決死の思いのメールを見て、麻美は言葉を失う。
自分が大人だったとして、自分は好きな相手にこんなふうに真っ直ぐとぶつかっていけるだろうか。
そんなことが頭を掠めつつ、真剣な面持ちでその数行に詰まった桃花の想いを感じ取ろうとする。
数秒画面を見つめた後、ゆっくりと麻美は人差し指で操作した。
そして、麻美がとった行動は――……。
【メールを削除しますか?】
その表示に吸い込まれるように軽く指を置くと、次に携帯に出たのは【消去しました】という冷たい一文だった。