世界でいちばん、大キライ。
*
学校からの連絡を受けた久志は、物凄いスピードで仕事を進め、ある程度のところで仲間に託して早退した。
そして、陽も落ちかけてきた頃、マンションの前に止まったタクシーから降りるのは、久志と麻美だ。
「歩けるか?」
「……大丈夫」
久志は麻美の荷物と自分の荷物を両手に持ち、麻美の足取りを気に掛けながらゆっくりとマンションへと足を踏み入れる。
久志は麻美を支えながら玄関を開けると、そのまま自分の部屋に向かった。
男の割には綺麗にしている部屋。しかし、ベッドの上の掛布は多少乱れていて、それをさらに乱暴な手つきで押しやると、そこに麻美を座らせた。
「ちょ……なんで、ヒサ兄の部屋……」
「だって、布団敷いてないだろ? それにお前、オレに部屋入られるのイヤだろうしな」
「……別に、イヤなんかじゃ」
「へぇ。でももういーや。めんどくせぇし。ここで寝てろ」
しゅるっとネクタイを緩めながら麻美を見下ろして久志が言うと、麻美はボーッとしたような虚ろな目で見上げる。
上着を脱いだ久志は、上半身を屈めるようにして麻美に近づいた。
「相当熱ありそうだな。今、水持ってくるからすぐ病院の薬飲め」
そう言って久志はキッチンへと向かって行く。
重い瞼をこじ開けるようにしながら久志の背中を見送る麻美は、朦朧とした意識の中で自分を叱咤する。
(もう。なにやってんの、あたし。こんな〝大事な日〟に)
ベッドの脇に腰を下ろしている麻美は、小さな体をより小さくして項垂れていた。
異変に気付いたのは登校してすぐ。けれど、『気のせい』と自分に言い聞かせ、ごまかしながら過ごしていたものの昼休みに限界が来て……。
保健室で熱を測れば9度近く。当然すぐに保護者である久志に連絡が行き、迎えに来てもらった足で病院へ立ち寄り今に至るわけだ。
学校からの連絡を受けた久志は、物凄いスピードで仕事を進め、ある程度のところで仲間に託して早退した。
そして、陽も落ちかけてきた頃、マンションの前に止まったタクシーから降りるのは、久志と麻美だ。
「歩けるか?」
「……大丈夫」
久志は麻美の荷物と自分の荷物を両手に持ち、麻美の足取りを気に掛けながらゆっくりとマンションへと足を踏み入れる。
久志は麻美を支えながら玄関を開けると、そのまま自分の部屋に向かった。
男の割には綺麗にしている部屋。しかし、ベッドの上の掛布は多少乱れていて、それをさらに乱暴な手つきで押しやると、そこに麻美を座らせた。
「ちょ……なんで、ヒサ兄の部屋……」
「だって、布団敷いてないだろ? それにお前、オレに部屋入られるのイヤだろうしな」
「……別に、イヤなんかじゃ」
「へぇ。でももういーや。めんどくせぇし。ここで寝てろ」
しゅるっとネクタイを緩めながら麻美を見下ろして久志が言うと、麻美はボーッとしたような虚ろな目で見上げる。
上着を脱いだ久志は、上半身を屈めるようにして麻美に近づいた。
「相当熱ありそうだな。今、水持ってくるからすぐ病院の薬飲め」
そう言って久志はキッチンへと向かって行く。
重い瞼をこじ開けるようにしながら久志の背中を見送る麻美は、朦朧とした意識の中で自分を叱咤する。
(もう。なにやってんの、あたし。こんな〝大事な日〟に)
ベッドの脇に腰を下ろしている麻美は、小さな体をより小さくして項垂れていた。
異変に気付いたのは登校してすぐ。けれど、『気のせい』と自分に言い聞かせ、ごまかしながら過ごしていたものの昼休みに限界が来て……。
保健室で熱を測れば9度近く。当然すぐに保護者である久志に連絡が行き、迎えに来てもらった足で病院へ立ち寄り今に至るわけだ。